内田百閒著、「百鬼園随筆」を読みました。

百鬼園随筆 (新潮文庫)
百鬼園随筆 (新潮文庫)

とっても偏屈で面白い人だと思いました。

今は短編集を少しだけ読んでいるのですが

東京日記 他六篇 (岩波文庫)
東京日記 他六篇 (岩波文庫)

とっても変です。

なんだかおかしな話ばかりです。

そんな読後感になる事を「狙って」いるのか、いないのか。それすら判断できないような不思議な話ばかりです。

夢で見た話を、朝起きてそのまま書いたような感じですが、本当にそれを読んでる人が理解できるように「ちゃんと」描くってとても難しい事だと思います。


 そんな内田百閒を描いた映画、黒澤明監督の映画「まあだだよ」を観ました。

なんか、おもしろかったです。どこがどうといえないのが残念です。

狭い小屋の中で夫婦が過ぎゆく四季をただ生活していく描写、仰げば尊しをうたう所、子供たちに「好きな事をやりなさい」という所、等々素敵なシーンがたくさんありました。

純粋な先生と、そんな先生を尊敬し愛した教え子さんや奥さんの素朴な思いが伝わってきます。

この映画、興行成績があまり良くなかったらしいのですが、なんとなく納得できます。

1993年公開なので僕はまだ子供の頃ですが、当時の空気的に(僕が93年の空気なんてどんだけわかってんのか疑問ですが)こういった映画は見向きもされなかったんじゃないかと思います。

「退屈な映画だな」「年寄りが年寄りの映画作りやがって」「こんなの観るほど暇じゃないんだよ」みたいな事を多くの人が思ったんじゃないかと、勝手に想像しました。


 そんな内田百閒の短編の一つを、僕が尊敬する山本直樹が漫画化した「眠り姫」。

この「眠り姫」の映画化作品が渋谷のUPLINK Xでアンコール上映されるようです。

考えてみると、小説と漫画という違いはありますがどちらの作品にも共通する「無常感」みたいなものがありますね。

そして僕は山本直樹が描くそんな「無常感」が大好きです。

是非映画「眠り姫」を観に行きたいと思いました。

おわり